ニッケイ新聞 2008年4月18日付け
キューバは最早、社会主義の途上国入りを果たしたといえそうだ。人々は輝いている。フーリオ氏は乳牛を手に入れ、集団農場時代より三倍の搾乳成績を上げた。ルイス氏は道具を購入し、煙草の生産倍増に挑んでいる。しかし、キューバ革命は健在である。
ラウル・カストロ新首相が就任以来、改革に次ぐ改革で個人の自発性と生産性向上を奨励している。手っ取り早い手段として、小農の活躍と観光業への就職が目立つ。集団農場が解散し、二十五万の個人農場が誕生した。
キューバには八〇年代、繊維留学生として東欧で学んだ者が多く、ドイツ語やチェッコ語、ポーランド語を流暢に話す者が多い。現在は外務省や通産省の出先機関で活躍している。
キューバは旧ソ連の崩壊で補助金と輸出市場を失い、GDP(国内総生産)が七〇%落ち込んだ。その上原油の供給が止まり、停電に悩まされた。当時食べるものに困らない農業が、花形産業と仰がれた。
いまや資産の私有化が許されたキューバは、国民が燃えている。外資の導入により、奇跡のアジア諸国に次ぐ経済発展を遂げようとしている。