ニッケイ新聞 2008年4月19日付け
基本金利を一挙に〇・五%引き上げて年利一一・七五%とした直後の資本市場は十七日、先物市場の短期契約が急遽調整を行い直ちに反応と十八日付けエスタード紙が報じた。高金利政策は長続きしないと市場関係者が見て、長期契約は年末で一二・七五%から一三・二五%に留まるとした。中銀はインフレ対策というが、それには財政黒字がGDP(国内総生産)の三・八%では不十分という見方が多い。
十七日の先物DI(日歩配当)契約は、三百十六万二千件に達し、過去最高の取引となった。市場は、中央銀行が豊かなクレジットに基づいての基本金利引上げを行ったと理解したらしい。中銀が予防的措置としての通貨政策と発表したのを、本気にした投資家も多いようだ。
いっぽう、冷静な二つの見方がある。インフレが適度に抑制されているので、ルーラ大統領の支持率が安泰である。目標インフレ率の中で抑制していれば、中銀を自由に泳がせる。中銀は独立権限を与えられたと思って、ルーラ大統領の旗振り役に精を出す。
もう一つの見方は、こうだ。ルーラ大統領に浪費癖がある。同浪費が政府浪費につながり、インフレの原因になる。しかし、大統領は浪費ができ、支持率が下がらない程度にインフレを抑制すれば満悦だ。そのため中銀は、高金利政策を続け憎まれ役をかう。そして大統領は浪費する。
中銀は、インフレ対策で孤軍奮闘している。十七日は〇・五%の金利引上げで、業界から袋叩きにされた。大統領が新調した専用機にはブレーキがないので、着陸時にはタービンを止めるしかない。それでは危ないと財界はいう。専用機にフラップ(エアーブレーキ)を取り付けるよう忠告している。
インフレ抑制に高金利政策だけでは、不十分だというのだ。大統領専用機には、通常の滑走路のほかに非常用滑走路を設ける必要がある。そうすれば景気刺激で経済が過熱しても、安心して着陸できる。通貨政策だけでなく財政政策もセットで対峙せよという。
現実は、中銀が唯一の大統領お守役である。お金をバラまかないように苦言を呈しても大統領は馬耳東風、毎年一五%増で浪費する。この程度なら、需要にもインフレにも影響がないと知っているからだ。
デウフィン・ネット氏は、インフレのテロリストが爆弾を抱えて侵入していると警告した。国民は、映画館で安心して映画を見ている。実情を知らないから、警報が鳴ってから非常口へ殺到する。インフレには、相乗効果と副作用があるのだという。