ニッケイ新聞 2008年4月19日付け
【共同】一九〇八年に最初のブラジル移民船「笠戸丸」が神戸を出港して百年になるのに合わせ、渡航前に移民が歩いた神戸港までの道をたどり、歴史への理解を深める催しが十三日開かれ、移住体験者や日系ブラジル人ら約二百人が参加した。
ブラジル国旗を持ったり日本の着物を身にまとうなどした参加者は、移住者の研修施設だった「旧神戸移住センター」(神戸市中央区)を出発。港まで約二キロ歩いた後、移民船に見立てた遊覧船に乗り込み、祖国を離れ新天地へ旅だった祖父母らの心情に思いをはせた。
二八年に建築された移住センターは、約二十五万人をブラジルに送り出した〃移民史の証人〃。この日は内部の見学会なども開かれた。
八歳でブラジルに渡った母親と一緒に参加した大野友さん(30)=米国在住=は「母がどんな気持ちで歩いたのかを考えたら思いが込み上げてきた。同じものを見ることができて感動した」と話していた。