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国連食糧サミット=大統領、先進国を糾弾=食糧危機の元凶、農業補助金

ニッケイ新聞 2008年4月23日付け

 国連のバン・キ・ムーン事務総長が貧困撲滅運動は失敗であったと声明を発表した。その元凶は、先進国の農業政策と補助金制度、原油政策であると糾弾したのを受けて、ルーラ大統領が二十一日、世界各国が食糧危機について原因を追求するよう訴えた。
 国連が認識しているように、エタノールが食糧危機の原因ではないことは明白であると、大統領が国連食糧サミットで述べた。事務総長は、ルーラ大統領が座長となって食糧危機対策会議を招集するよう要請した。同時に途上国へ、エタノール開発促進も行うよう国連のお墨付きを貰った。
 ブラジルの音頭で開催する食糧対策会議は、ブラジルだけの努力によらず食糧安全保障のために、農業の生産性や土壌改良、機械化、農業融資も含めて国際社会が協力するよう国連が呼びかけた。食糧危機の解決は波及効果として数々の危機を解決すると、事務総長が持論を訴えた。
 ルーラ大統領は、食糧危機の原因をつくった責任者を告発するという。先進国の農業補助金は、麻薬のようなものだと例えた。先進国が経済力にものをいわせ、生産者に補助金を与え無気力で無能な生産者を育て、極貧国の農業生産者を犠牲にすると、大統領が糾弾した。途上国の頭を押さえつけ、先進国同盟を形成していると訴えた。
 大統領は、バイオ燃料の反対論者がEUを始め先進国で予想以上に多いので驚いたと告白した。ブラジルはエタノール増産が雇用創出と所得向上につながり、低所得者が容易に食糧を得、エタノールが食糧生産の妨げになるというのは誤解だと説得した。
 先進国は、無神経にもクリーン・エネルギーのエタノールに不当な高率関税を課していると訴えた。ブラジルはガーナに農事試験場を設立し、アフリカのエタノール先進国として先鞭をつける計画という。ブラジルはG20を通じて、ドーハ・ラウンドの成功を勝ち取ると宣言した。