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原油が暴騰、120ドルへ=生活費高騰は必然=目標インフレに支障来たす=原油投機で振り回される

ニッケイ新聞 2008年4月24日付け

 ニューヨークの五月渡し原油先物が二十二日、バレル当り百十九ドル三七とほぼ百二十ドル台へ入ったことで、ブラジル国内でも生活費の高騰は免れない見通しと二十三日付けエスタード紙が報じた。三十一カ月にわたって安定価格を保ったガソリンやジーゼルも、国際価格の影響を受けることになりそうだ。期待するナイジェリア産石油は内戦で生産が低迷し、産油国の増産可能性も見えない。
 ペトロブラスは近日、原油の国際価格が暴騰したことで国内の燃料価格を調整する見通しとなった。国際価格と国内価格の差は、ガソリンで一八%。ジーゼルに至っては二五%もあった。これをいきなり上乗せはしないが、ある程度の調整は免れない。
 原油の高騰を消化するためには、インフレ目標は忘れなければならない。燃料の値上げは、四または五カ月毎に五%位の割合で調整することになる。市民は、来年のインフレを心配する必要がありそうだ。
 原油は今日、世界的なインフレ・リスクとなっている。大豆や砂糖、コーヒーなどの農産物コモディティは、原油の高騰に押され、三月をピークとして横ばいになるらしい。
 原油の高騰は、上限の予想が難しい。米国金融市場の傷の深さが分からないように、原油価格も想像を越えた驚異的価格に上る可能性がある。現在は関係者がハラハラしながら成り行きを見守っているけれど、腹をくくって最悪事態を待つことだ。
 原油市場は、需給関係がつかめないので妥当価格を割り出せない。百二十ドルを超えて、百二十五ドルに達するのも時間の問題である。投機家は飲酒運転のようで、不確定相場もいいところだ。FRB(連邦準備制度理事会)やEU中央銀行が何を警告しようと、馬耳東風である。
 原油高騰の原因は、中国など途上国の需要増だけではなく、投機家の吊り上げだと市場関係者はいう。投機家の介入がなければ、妥当価格は八十ドルと見ている。投機家は、カネのやり場がなくて原油を狙ったらしい。原油高騰は消費に水を差し、需要も減らす。
 ブラジル中央銀行は、原油の高騰と米国の景気低迷の板ばさみでインフレ判断に迷っている。EUは減速経済に入ったことで、通貨政策にちゅうちょしている。状況は非常に複雑だ。原油価格は年末、八十ドルから九十ドルに落ち着く。それまでの辛抱らしい。