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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年4月24日付け

 サンパウロ市内の食料雑貨品店で、日本製らしいチョコパイの輸入品を買った。値が安かったし、日本製のはずはないのに、包装を見て、一瞬「あれっ」と思ったのである。細かい表記文字を読んで中国製であることを確認、「やっぱり」と納得した▼日本の製造業者が中国に進出して生産すれば、英語説明も併記して日本製品らしくなるのは当たり前だ。中国の食品はさきの混入物騒ぎもあって、要注意とは思う。それとは別に、中国製品はブラジル市場で本当に幅をきかすようになった、という実感のほうが強い▼輸入販売業者は、いつも手をこまねいてはいないのだ。安くて売れるとなれば、どんどん入れる。コスト競争に負けたその国では生産が行なわれなくなるのも自然な流れだ。もう〃大先輩の日本〃が先例を見せてくれている▼先日この欄で「食糧を輸入しない国のすばらしさ」を書いた。ブラジルはそんな国の一つであり、今後も特に「農」およびその関連製品の輸出大国でありたい、と願うからだ。過去「食」に関して、小麦のほか、限られた嗜好品しか輸入されていないといわれてきたが、チョコパイを見たりすると、他にもたくさんあるかもしれないと思う▼実は中国製であろうと、なんであろうと、美味くて安価で安全であれば言うことはない。しかし、贔屓(ひいき)するわけではないのだが、国産であればもっといい、総生産に占める農業や製造業の割合が、いつまでも大きな国であってほしい、とつい欲張ってしまう。(神)