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次期大統領選=官房長官ついに浮上=産みの苦しみは終わったか

ニッケイ新聞 2008年4月25日付け

 ルーラ大統領が後継者として推しているロウセフ官房長官が、ジワジワと支持率を上げている。これまで大統領の影に隠れて見えなかったのが、ようやく雲の隙間から顔を見せた。
 ドシエー(機密文書)問題では窮地に立たされたが、最近の支持率調査によると九死に一生を得たようだ。次期大統領選の有力候補と予想される面々に並んで、表面に出てきた。野党のドシエー作戦を、うまくかわしたようだ。
 官房長官の遊泳術を見て、有権者は見直したらしい。最近は官房長官の談話や立ち居振る舞いも、堂に入ってきた。イメージ指南サンターナ氏の指導らしい。苦言をいうなら、庶民的でなく取っ付きが悪い。千客万来、誰でも抱擁して迎えるタイプではない。
 野党は照準を官房長官に定め、弱みを狙って集中攻撃を始めた。影響力不足と政治力不足、カリスマ性不足など。対決すると能力を発揮するが、一言で大衆の心を捉えるタイプではない。独裁型で民主型ではない。PTタイプではないPTの政治家である。
 野党は上院基幹委員会へ官房長官を召喚し、ドシエーに関する喚問を執行、泥を吐かせる考えだ。与党は喚問阻止に必死である。同長官の大統領立候補には、PT(労働者党)や連立のPMDB(民主運動党)の足並みが乱れており、一枚岩というわけではない。
 PMDBの多数派は独自の候補を出すというが、目ぼしい駒はない。ネーヴェス知事のPMDB入党を待っている感じだ。PMDBと官房長官は、お互い屋上から高みの見物という仲らしい。官房長官は大統領の指名であって、党も連立党も支持する義理はないと思っているようだ。官房長官へのPT票集めで試金石となるのは、十月の地方選といえそうだ。