ニッケイ新聞 2008年4月26日付け
ブラジルのエタノール産業は二十四日、世界的批判を尻目に二大買収により大きく躍進したと、二十五日付けエスタード紙が報じた。英系石油メジャーBP(旧ブリティッシュ・ペトロレアム)が、ヴァーレ傍系のサンテリーザとマエダ・グループ所有株の半分を十六億六千万レアルで買収、ゴイアス州で操業開始。またエタノール最大手のCOSANは、ブラジルEssoの全資産を八億二千六百万ドルで買収した。
エタノールが国際市場で食糧危機の元凶として包囲される中、着実に国内の産業基盤を固めた。バイオエネルギーに関する二大ニュース発表で、エタノールが有望産業として世界の脚光を浴びた。
COSANによるEsso買収は、引く手数多のライバルを向こうに回し見事金的を射って市場関係者を驚かせた。関係者の予測では、GP投資顧問またはペトロブラスの手に落ちると思われたからだ。
COSANは、同契約でエタノールの生産販売と配給を一手に納め、アルコールのペトロブラスと仰がれる。同社はエタノールの草分けであり、システムの統一を完成した先駆者である。Essoネットの一千五百スタンドとExxonの潤滑油も配下に納めた。
自動車の爆発的売れ行きとエタノール消費で、COSANは時代の波にのったらしい。さらにガソリンの高騰、環境への配慮というオマケがつく。ブラジルの燃油配給は、八〇%がPB系の配達システムに独占されていた。そこへCOSANが殴りこみをかける。
一方、石油メジャーのBPは、マエダ・グループのトロピカル・バイオエネ株を一億レアル購入し、エタノール産業に本格参入をした。同社はエタノールについては素人であるが、資本参加は原料入手と技術導入のためといっている。
BPのエタノール参入に刺激されて、英オランダ系のシェルや仏系のトータルなど石油各社が動き始めた。当初はバイオエネルギーに批判的であったが、もはやエタノールを看過できなくなったようだ。
エタノールのコモディティ市場参入は近いようだ。エタノールも原油と並んで市民権を得る。それで国際石油メジャーが、エタノールに関心を持ち始めたようだ。ブラジルのエタノール企業は同族会社が多いが、やがて株式会社へ生まれ変わると思われる。