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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年4月26日付け

 日本国籍をも所持する大統領はこれまでにもいた。先ごろ有罪判決を受けたペル―のフジモリ氏は、当時の日本移民がそうだったように二重国籍だったのでおかしな格好になったけれども、大阪で生まれ故国に帰ってから国政のトップになったのは韓国の李明博大統領が初めてではなかろうか。苦難の道を歩み実業界で成功し政界に転じソウル市長などを歴任した苦労人である▼その李大統領が日本を訪問し首相と会談し善隣友好を強めようと語り合ったのは結構なことだ。金大中、盧武鉉両政権は、北朝鮮との友好を重視し、日韓の歴史的な過去を見据えたこともあって必ずしも「仲良し」ではなく、外交も停滞しがちだったのは否定できない。ところが、李大統領は、日米を重く見て「(対日は)過去にとらわれて未来に向かうのに支障があってはならない」と述べたのは喜ばしい▼韓国は今や経済的な発展が素晴らしく、世界で10番目に入る大国である。鉄鋼や造船で日本企業を上回ることもあり、電器産業と自動車製造も大型化し国際的な規模に成長している。朴正煕政権のときから力を入れた輸出産業の振興が実を結んだものであり、この経済構造も日本とまったく同じと見ていいのではないか▼両首脳は、朝鮮半島の非核化や日中韓首脳会議の開催でも一致したし、未来に向けて成熟した関係を樹立しようと誓ったのが何よりもいい。これからは年に一度は日韓の首脳が会い話し合いをするの申し合わせもアジアの平和にとっては欠かせない。李大統領は、陛下とのご会見で「韓国へどうぞ」と招聘したが、近い将来には是非とも実現したい。(遯)