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20年経って賠償金支払い=ずさんな管理で放射能汚染=危険と隣合せの現代社会

ニッケイ新聞 2008年4月29日付け

 原爆やチェルノブイリ発電所事故など、放射性物質の影響は長期に渡るが、二十六日付けフォーリャ紙が、一九八七年にゴイアニアで起きた放射能汚染被災者で第三グループに属す人々への賠償金支払い承認を報じた。
 事件の発端は一九八七年九月。十三日にゴイアス州ゴイアニアの清掃業者二人が廃業した病院のガン治療用機器からステンレス製の円筒形の入れ物を持ち去り、スクラップ業者に売却。その後、入れ物を分解した業者は発光する美しい青い粉を見つけたが、この粉が従業員らから家族や友人に広がった。
 もらった人たちは、体に塗ったり、洋服につけたり。中には食べてしまった子供もいたが、この子供やその母親など、一週間に四人が死亡した。その他にも、水ぶくれや嘔吐などを訴える人が続出。二十八日になってスクラップ業者が診察を受け、放射能汚染が発覚したという。
 急遽、派遣された専門家らの指示の下でセシウム137と呼ばれる放射性物質の除去が行われたが、当時、二四四人が放射能汚染の被災者に認定された。
 しかし、被害はそれだけに止まらず、その後現場に立ち寄ったり、被災者と接触した人たちなど、二〇〇二年の時点で被災者認定を受けた人は八六〇人。また、既に死亡した人々は少なくとも六五人いるという。
 これらの被災者のうち、今回の賠償金支払いの対象者は処理に当たった警官や消防士らの公務員一九九人で、四八二レアルを終生補償として受け取るが、さかのぼっての支給はない。被災度が高い第一、第二グループの人たちは、一九八八年末から賠償金八七三レアルを受け取っている。
 現実には、今も被災者認定を求めている人や、賠償金支払いの対象とされていない人もいるが、セシウム137の半減期は三〇年。現場から半径一〇〇メートルの範囲ではガンの発生率八〇%と高い上、被災した人たちは、頻繁な頭痛を訴えたりと、影響はまだまだ続いている。
 核廃棄物の処理問題は今も多くの課題を抱えているが、国内でも原子力発電推進など、科学技術の発展に伴い、身近な所での危険も大きくなっている。