ニッケイ新聞 2008年4月29日付け
食糧危機はブラジルにとって大きなチャンスであるが、これまで食糧の大量輸出だけしかブラジルは考えない。これからは生産と販売の戦略を考慮した農業政策を採る必要があると米農務省が二十六日、提言した。
生産と消費が均衡を失ってから、時代は変わった。以前の不均衡は不作が原因であったが、今回は消費の激増であって過去の現象と異なる。途上国の消費者の所得向上により、食文化のスタイルが変化したこともある。
世界の食糧在庫がいま、危機的状態にある。在庫不足が導火線となって、食糧暴騰につながりコモディティで投機の対象となる。この危機的状態を回復させるには、数年を要する。日本や中国のような食糧輸入国は、長期展望のもとで危機に備えて大量の必需食料品を在庫している。
このような状況下でブラジルの農業生産性は向上したが、生産原価高騰と資金不足で波に乗れない。ブラジルは政府と農業組合、商工会議所などが、日本の年利〇・五%という低利の融資を受け、食糧危機にある途上国へ長期食糧供給を考慮するべきである。
ブラジルの農業生産者は年利八%という農業融資を受け、生産物を穀物商社へ超低価格の青田売りをしている。穀物商社は、生産者と五年ないし十年の生産契約を結び、生産者を泣かせている。ブラジルの農業生産は、戦略不在なのだ。