ニッケイ新聞 2008年4月29日付け
日本の人口が減りはじめ2050年になると労働人口は2400万人も少なくなるそうだが、世界は拡大路線を歩みもう60億人を突破し、中国は13億人、インドは10億人の超大国である。余りに増えすぎに中国の「一人っ子政策」は有名だし、何らかの方策を考えないとヒトばかりが膨張し大変な騒ぎになる恐れがある▼人口の増加が急激に進むのは19世紀末の産業革命になってからだが、これにともなう被害も大きい。自然破壊や森林の荒廃。化学肥料や農薬による耕地の疲弊もある。子供の頃の日本にはツバメが軒下に巣を構え可愛い赤ちゃんを育て夕方になると山里の空を飛び交ったコウモリもいなくなった。それもこれも害虫と作物の病気を防ぐ激しい毒性をもつ農薬が原因なのだ▼近頃はこうした薬品の使用を禁止するなどの改善もあり小鳥たちも増えてきたようだが、人口の増加で一番困るのは食糧需要の拡大である。すでに小麦やコメ、大豆などの穀物が高騰し、品不足が起こっている。パンの食材である小麦は、07年度には78%の値上げ。大豆も66%だし、コメの値段も天井知らずが現状なのである▼コメ不足は、25億の人々を飢餓に追いやる危険があるし、フイリッピンとセネガルやカルメーンとかの国々は深刻な事態になりかねない。先ごろは1トン580ドルだったコメが翌日には760ドルに飛び上がり国際市場が混乱に陥ったし、エタノ―ル生産による食糧危機の声も強く、これはもう世界的な取り組みをしないと、解決は難しい。国連などを軸にして穀物などの値上げ防止の対策を急ぐしかない。 (遯)