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経済活性化計画が隠れ蓑=麻薬密売者も工事に従事=更生者か否かの判別困難

ニッケイ新聞 2008年4月30日付け

 リオ市内の複数のファヴェーラでは、政府の経済活性化計画(PAC)に基づく工事が進められているが、麻薬密売者たちがこの工事を隠れ蓑にしようとしているとして警察が摘発に向かい、五人を逮捕するとともに、銃器や麻薬などを押収した。
 二十九日付け伯字紙によれば、コパカバーナ地区のモーロ・ド・パヴォン・パヴォンジーニョで二十八日に逮捕された密売者の一人は、組織幹部でピット・ブルの渾名を持つアダウト・ド・N・ゴンサウヴェス。銃器類の不法所持で三年半服役したことがあり、二〇〇六年に監察付きで出所した人物だが、警察の捜査では今も密売組織の一員として活動しているという。
 このピット・ブルが密売者として逮捕されただけなら、よくあることで済みそうだが、彼がPACの工事現場で警備員として一カ月半働いていたことが当局の目を引いた。
 警察には、彼以外の密売者たちも、表向きはPAC工事の現場で働き、裏では麻薬取引を継続という情報が寄せられており、ピット・ブルの犯罪参加も立証できるという。
 ピット・ブルらの逮捕には一〇〇人近い軍警、市警とともにヘリコプターも投入され、機関銃、小銃、拳銃、手榴弾、手製の爆弾などの銃器ほか、未精製のコカインや精製用機材などが押収された。
 ピット・ブル自身によれば、昨年四月に組織を抜けて以来、犯罪とは無縁で、PACの工事現場の夜警として受取る五〇〇レアルの給料で暮らしていたというが、警察は電話傍受などで犯罪行為は明らかとして、逮捕状を請求、受理された。
 今回の逮捕劇で問題となることの一つは、公的工事が犯罪の隠れ蓑として利用されたことだが、もう一点、犯罪歴のある人の就職の問題もある。PAC関係者は、地域柄、採用者に犯罪歴のある者もいるかも知れないが、犯罪歴があるというだけで採用を拒否することは出来ないという。
 PAC工事を隠れ蓑にしようとする犯罪者の存在が、真摯に働こうとする更生者を妨害する可能性は高い。