ニッケイ新聞 2008年4月30日付け
パラグアイのルーゴ新大統領(五六)は、政府が経済政策に口出しをしない社会主義政権を樹立するという。フランシスコ派の元神父で、革サンダルを履き、背広やネクタイはつけない。住宅は町外れの質素な家に住み、ポンコツ自動車を自分で運転して登庁する。
社会運動に身を投じて警察に追われる神父は、教会の中では過激派とされた。運動は二〇〇四年、解散の憂き目に合い教会へ帰還した。それが二〇〇六年、政治志望を宣言し、六十一年にわたるコロラド党の天下を覆したのだ。
新大統領は、金銭欲や物欲、名誉欲はないらしい。一族は政治一家で、父は政治犯、トロエスネル政権に拷問された。兄弟六人のうち三人は亡命。政府の弾圧を受けた間、一家は生活に困窮し、辛酸をなめ尽くした。