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イザベラちゃん事件起訴へ=警察は第三者の存在否定=父親、継母の身柄拘束請求も

ニッケイ新聞 2008年5月3日付け

 五歳の少女が、父親のアパートの六階(日本式にいえば七階)から投げ落とされて死亡してから一カ月後の四月三十日、警察からの最終報告書が司法当局に提出され、事件は新しい局面を迎えた。
 三月二十九日夜、父親と継母、異母兄弟らと共に父親の住むアパートに戻ったイザベラちゃんは、アパート到着後間もなく地面に落下。病院に運ばれたが、死亡した。
 事件当時、父親は、外部の者が侵入し、娘を窓から投げ落としたと供述していたが、市警がまとめた最終報告書では、イザベラちゃんは帰宅途中の車の中でケガをした後、父親に運ばれてアパートに到着。ソファーにもたれかかった状態でしばし放置された後、父親に抱えられて窓まで運ばれた。窓のアミに開けた穴からは、足から順に屋外に出され、両手を掴んだ父親と対面する形で吊り下げられた後、左手、右手の順で離され、落下した。
 アパート到着から地面落下までは約十分。この間に、継母に首を絞められて窒息状態になっていたとみられるイザベラちゃんだが、その場で救命処置をとれば助かっていたという。しかし、救命処置はとられず、窓から落下。地面にたたきつけられたことでその死は決定的なものとなった。子供を守るべき親が加害者となったとされる事件で、父親たちが供述のために警察に出頭するにも厳重な警備を要した。司法当局には、二人の身柄拘束請求も出されている。
 ケガをした時の凶器が見つかっていないなど、疑問点も残っているが、健康で明るく、二週に一度父親と過ごすのを楽しみにしていた少女の命を奪った事件は、継母の嫉妬深さや、感情や状況を抑制できない父親など、様々な人間模様を描き出し、社会的にも大きな波紋を投げかけた。
 専門家は、初回の暴行、虐待で死に至らせる親はいないとも述べているが、家庭内で起きる事件の兆しを汲み取りきれない社会構造の弱さも露呈された事件ともいえる。