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医学部教育見直しの必要=結果の出ない学部を査定=廃止論まで出て来る状況

ニッケイ新聞 2008年5月6日付け

 法学部や教育学部の査定や定員削減を進めている文部省が、医学部にも同様の処置をとるべく、十七の医学部のリストを発表した。
 二十九日発表のリストは、最終学年の学生の習熟度を測るEnadeと、入学時と卒業時でどの位習熟度が上がったかを見るIDDの二つの試験結果をもとに作られ、五段階評定で一、二という学部が査定の対象となる。
 リストの中には、ポルトガル王室のブラジル到着後に開設された国内最古のバイア連邦大学(UFBA)医学部なども含まれていたが、文部相は、リスト中の四つが連邦大学医学部であることを、冷静に受け止めている。
 これは、Enadeには強制力がなく、大学毎の成績を統一試験で評価することへの反発などで、大学や学生が試験放棄することもあるため。リスト以外にも、同程度の成績の医学部が三つあるが、管轄外としてリストからはずされた。
 査定対象の医学部の中には、カリキュラムを変更した直後だったとか、既に改善のための対策を講じたという学部もあるが、現場の医師たちも、現場での研修、実習をするべき大学病院が教育機関として機能していない、指導できる医師が不足しているなど、医学教育の質の低下を実感していると述べている。
 五日フォーリャ紙で報じられたサンパウロ市A.C.カマルゴ病院理事のブレンタニ医師は、結果の出ない医学部は即刻閉鎖すべきで、医師不足地域への派遣のあり方などの問題はあるが、原則として一千人に一人の医師で十分と発言。一度開学した学部を閉鎖すれば政治家の人気が落ちることが、大学教育改革で大なたを振るえない原因だとまで述べた。
 近年は医療ミスに伴う訴訟問題も増えているが、ミスを犯す医師は成績の振るわない医学部卒に多い。教授陣の充実、研修制度の徹底などで医療の質が改善されれば、デング熱流行などへの対策にもつながる。