ニッケイ新聞 2008年5月7日付け
サンパウロ市西部の高台にそびえる旧ドウトール・アルナウド研究所が、五月六日の開所式をもってサンパウロ・オタヴィオ・フリアス・デ・オリヴェイラ・ガン研究所として新たなスタートを切った。
四日付け伯字紙や六日付けエスタード紙によれば、一九八九年から建設が始まり、昨年、セーラサンパウロ州知事によりガン専門の研究所として発足することが決まった同研究所は、ヘリポートなども備えた最新設備の研究所で、本日から、段階的に機能を開始。来年十二月には全館が機能し始める予定で、完成時には、五八〇病床を持つラ米最大のガン専門医療研究施設となる。
サンパウロ総合大医学部付属施設の一つである同研究所では、クリニカ病院で加療中の患者約四千人を受入れての一般ならびに婦人科のガン診療、救急診療、化学療法から機能開始。同時に、研修医や医学生の指導と、最新設備を用いた研究活動も開始される。
同研究所が段階的に機能し始めるのは、医師や看護士、看護助手など、各部門の担当者の訓練と、病院内業務のリズム確立のため。三カ月後には、婦人科、泌尿器科、消化器系の手術や入院加療開始。年内には診断活動も始められる。
また、来年からは、他の公共医療機関からの患者の受入れや、放射性同位元素を用いた早期診断技術などの研究も開始。来年末の放射線療法部門開設で、クリニカ病院で行われてきたガン研究、治療の全過程の移行を終了する。ただし、放射線療法部門は、クリニカ病院での機能も一部保持する予定という。
ガン研究部門では、ガン病院として知られていたA.C.カマルゴ病院やシリオ・リーバノ病院との共同研究も進められる予定で、心臓専門の医療研究機関としてのInCorが、最新医療技術や情報の窓口となったのと同様の機能を持つことが期待されている。