ニッケイ新聞 2008年5月8日付け
キナリア下院議長は六日、下院監察委員会にパウロ・P・シウヴァ下議(PDT=民主労働党)兼労組理事長のBNDES(産業開発銀行)融資金横領への関与疑惑を解明するよう指示した。監察委のオリベイラ下議(PR=共和党)は解明手続きに着手したが、立件されれば議員権はく奪に至ると述べた。
連邦警察がサンタテレーザ作戦でBNDES資金横流しを捜査する手法は越権行為であるとして、容疑者からシウヴァ下議へ捜査中止を訴える電話があった。同下議が資金受給者の容疑者リストに名を連ねたことで、下院議長は事態の異常性を懸念したようだ。
盗聴記録は、同下議の議員特権により連警の捜査行為を越権と告発するものであった。連警対議員の争いは、下院議長が監察委員会へ回したことで決着をつけるらしい。労組理事長兼下議に対する疑惑解明は、司法機関と国会、党、労組が見守ることとなった。
下院議長は監察委員会の解明が、どちらかに軍配を上げたのではないと声明を発表した。シウヴァ下議には、下院で釈明の機会を与えた。新聞に名前が出ると良くも悪くも、議員にとって点数稼ぎになるという。
最高裁も近日、同件で審理要請を受ける。下院は一足先に手を打ち、裁判所の手数を省いたようだ。監察委員会の解明報告書は、下院執行部へ渡される。そこで立件となれば、倫理委員会へ回され、議員権はく奪か告発却下かが決まる。
BNDESから地方自治体への融資横領の首謀者とされるモウラ容疑者は、同下議の元側近で、労組時代からの長い交際があり、「阿吽の間柄」である。連警は、不正資金が同下議の政治資金に供されたと見ている。
盗聴設備は同下議の周囲へ周到にはられ、一味の会話が逐次傍受された。融資金は自治体の公共工事の名目で申請し、下議の口利きで交付が決まった。融資金は総額の四%が受給者の懐に入り、下請け企業からリベートを取った。自治体は、下議の選挙地盤とされる地域が標的であった。