ニッケイ新聞 2008年5月9日付け
イッペランジヤ・ホーム(スザノの援協経営老人ホーム)の毎年の資金獲得イベントは、ダリア祭りとイペー祭りが代表的なものである。今年、タイミングがあえば、ダリア祭りにおける〃だんご〃ほうで、焼き芋が販売できるところであった▼この話は、サツマイモの苗を提供した農業コンサルタントの高桑義政さんから聞いたものである。焼き芋が販売できる…というのは、無償で贈られた苗をホーム側がある程度の量を有効に育てれば、という前提がつく。今年は時期的にも間に合わなかった▼このイモ、たいへん美味である。皮は鮮紅色で肉質は黄色、美味い栗と同等の甘味がある。高桑さんは、日本の埼玉の同窓の友人から、数年前に譲り受け、シチオで増やしてきたものだ。埼玉は生産量こそ少ないが、江戸時代からサツマイモの産地として知る人ぞ知るだ▼高桑さんは、ホームに畑は十分あるし、ホーム側が望むなら祭りで販売可能な量が収穫できるだけの苗を提供したいといっている。そしてできれば、授産的に入居者がイモつくりの軽作業をやってくれれば、理想的だとひそかに考えている▼現実はどうだろう。いまホームの入居者は高齢化し、認知症もおり、ややもすれは、日常は無気力になりがちだ。どうぞ読書を、と本を贈ってもなかなか取り付いてくれない。幸い、栽培に熱心なホーム支援者がいるようだから、ダリア、イッペーに加えて、第三の祭り、コロニア初の「焼き芋祭り」実現もさほど困難ではない。(神)