ニッケイ新聞 2008年5月10日付け
サンパウロ市上空にはいつもスモッグ、交通渋滞で大気汚染など、環境落第生かと思うような情報が多いが、ブラジル生産エネルギーの半分は再生燃料型で、一人当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は世界平均を大幅に下回るなどの朗報が流された。
九日の伯字紙によると、昨年のブラジル生産エネルギーは、バイオ原料利用のもの(サトウキビ産品一六・〇%、薪や木炭一二・五%、その他三・一%)と、水力発電一四・七%のように、再生燃料型が四六・六%を占め、その比率は年々拡大。これを世界平均一二・七%と比べるときわめて高いが、この高比率は温暖化ガスであるCO2排出量削減にもつながる。
国単位ではCO2の世界五大排出国の一つのブラジルだが、国民一人当たりで見ると、世界平均四・二二トンに対してブラジルは一・八四トン。CO2排出量世界一、二を争う米国の一九・六一トンの一割にもならない。
しかもブラジルは、サトウキビ産品であるエタノール生産に政府補助を必要としない上、食糧供給を圧迫しないという強みがある。作付け可能な土地を有していることに加え、三月三十日エスタード紙にあるように、搾汁後のバガスからのエタノール生産など、技術研究も進み、サトウキビの生産性ならびにエタノールの生産性向上も約束されている。
また、四月三十日エスタード紙によれば、バガス、籾殻、椰子の実の殻、木材など、バイオ燃料によるエネルギーの生産、研究も進捗。バイオ燃料による再生型エネルギー生産は、従来廃棄していた原料の保管場所や運送費、処理費の削減、CO2排出権市場で利益を生むなど、利用はますます増えている。
フレックスタイプも含めたアルコール燃料車の増加や、バイオ燃料の利用推進など、ブラジルの再生型エネルギー拡大は今後も止まることはない。