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隅田川花火大会開催へ=百周年の締めくくりに=サンパウロ市の夜空に移民史描く=2万発を90分間で

ニッケイ新聞 2008年5月10日付け

 日本が世界に誇る〃江戸の花〃が大晦日のサンパウロに咲き誇る――! 日本移民百周年の今年、多くの行事がブラジル各地で一年を通して行なわれるが、大晦日に有終の美を飾るイベント「隅田川花火大会」のサンパウロ開催が準備段階に入っていることがニッケイ新聞の取材で分かった。先月二十二日、東京で関係者と会合を開いた高橋ジョー氏(日本文化週間コーディネーター)によれば、開催に関する経費は日本側が負担することが決まっており、「六月の式祭典本番と肩を並べるイベントになるのでは」とブラジル側の受け入れ態勢を整えるべく腕まくりしている。
 隅田川花火大会は、江戸時代の一七三二年(享保一七年)にあった大飢饉とコレラの被害者を弔うため翌年、両国の川開きに花火を催したのが起源とされる。 明治維新や第二次世界大戦、戦後は交通の事情などから中断されたが、七八年に現在の形になり、百万人を動員、東京の夏の風物詩となっている。
 開催について日本側から打診があったのは、今年の三月。サンパウロ市当局と交渉にあたった高橋氏によれば、ジルベルト・カサビサンパウロ市長や百周年担当者らが「かなり乗り気」になっており、すでに打ち上げ会場の無償提供が決まっている。
 高橋氏が東京で会合を持ったのは、江戸時代からの老舗で、海外でも数々の花火大会を実施している丸玉屋小勝煙火店の小勝一弘代表取締役、花火大会の総合コーディネートを行なうインフィニティビジョンズ・アジアの富田一雄統括マネージャー。
 説明によれば、約二万発を九十分間で打ち上げ、「ブラジル日本移民史」を花火だけではなく、レーザー光線、音楽などで表現、サンパウロの夜空をキャンバスにした壮大な一大絵巻となる。
 現在、打ち上げ候補地となっているのは、サンパウロ大学構内、インテルラーゴス・サーキット場、サンボードロモの三カ所。
 この場所選定のため、「日本文化週間」最終日の二十二日にアニェンビーで打ち上げられる花火の視察に関係者が来伯し、最終決定する。
 関係者の渡航費、花火運送など大会実施にかかる主な経費は日本側が負担、すでに協賛企業を募っている段階だという。
 ブラジル側で調整が必要なのは、輸入手続き、交通整理や騒音など。近隣住民への配慮など、法律に照らし合わせた綿密な事前調査も必要になりそうだ。
 「百周年を締めくくる最高のイベントになる。日本の芸術をブラジルで花咲かせたい」と力を込める高橋氏は、ブラジル側でかかる予算を約五十万レアルと見積もっており、七月にルアネー法の申請を行ないたいと話している。