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生産優先の実体経済を=産業勃興に覚醒か=輸出、投資、革新の三本柱で=「武士の商法」空論批判も

ニッケイ新聞 2008年5月14日付け

 長い議論を経た政府は十二日、ようやく「工業生産の活性化」と銘打ち、二〇一〇年までに二百十四億レアルに上る予算を投じ、金融経済に対する実体経済の勃興に努めるとの意向を示した。工業部門やサービス部門への産業開発銀行(BNDES)融資などを含めると総額二千百億レアルに上る構想とされる。
 空洞化が危ぶまれた工業部門に輸出奨励と研究開発投資、産業の技術革新を柱とする新工業政策を、政府は打ち出した。財政黒字優先を差し置き、生産を優先する実体経済の勃興構想(PDP)だ。PDPはブラジル経済を長期成長路線に乗せ、完ぺきな均衡経済を築き、大口の直接投資を招くのが目的。
 国民は過去のブラジル経済と今後との相違を認識して欲しいとジョルジェ産業開発相が訴えた。システムに裏打ちされた産業全般の底上げを行う。従来の、ソフトウェアと製薬、半導体、資本財の特定企業だけが優遇された時代は終わったという。
 PDPは輸出産業の後押しをするものと財務相はいうが、大切な忘れ物をしていると産業界は見ている。財政黒字をさしおき二百十四億レアルを投じるのはよいが、同じことを宣言したコーロル政権は見た通りである。
 イタマール政権は、自動車産業にICMで税制恩典を与え、産業界に摩擦を引き起こした。FHC政権は、産業勃興政策と銘打って、民営化に力を注いだ。反省してみて、過去の工業政策はどれも付け焼刃であった。
 ブラジルの問題は予算ではなく、どこへ行くのかだ。ブラジルの行く先には、成吉思汗が待っている。為替という重い鎧を着て、アジアの強者と戦うのか。税制恩典は、傷口に赤チンを塗るようなもの。
 勝てる見込みのない闘いは止めて、断然優位なアグリビジネスで勝負したらどうか。実体経済の勃興なら、カリオッカ油田をどう生かすのか知りたい。大油田を抱えたブラジルは、これからどうなるのか教えて欲しい。

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