ニッケイ新聞 2008年5月15日付け
世界食糧危機でもブラジルは大丈夫と言われても、実際に肌で感じる物価の高騰。それを裏付けるように、十四日伯字紙は、インフレ進行中で低所得者ほど影響が大きいと報じた。
インフレ高進の主因は食料品で、主食も含めた食料品が過去十二カ月で一〇・七九%値上がり。今年最初の四カ月間だけでも、大豆油三二・三%、パン一四・二%、鶏卵や牛乳も各々八・五%、八・〇%の値上げ他、平均六・二七%の高進。更に、今度は牛肉値上がりとの報もある。
背景にあるのは飼料や肥料の高騰で、ブラジルブラジルで使用する肥料の輸入依存度は六四%。食糧危機はなくても、世界的な原油高と、肥料の需要増、ドル安などの要因で、生産費や送料が高騰。十二日伯字紙には、肥料高騰のため、とうもろこしの生産を諦めた農家があるという記事や、ブラジルは肥料の重要性を省みてこなかったとの、反省の弁も報じられた。
また、十四日エスタード紙によれば、サンパウロ市やリオ市の地下鉄料金は国内比較でも、国際比較でも、所得に対する負担が大きいという。この地下鉄やバスの料金が給与に占める割合を見ると、ここでも低所得者への負担は大きいとの報。
では、食料インフレの影響はというと、最賃二・五以下の場合、生活費中の食費の比重は四〇%。国民全体での三〇%と比べると、インパクトがより大きいことが分かる。また、交通費の比重は、給与の一二%という昨年の全国平均に対し、最賃一つの人の負担は五三%に及ぶという。
ちなみに、今年四月までのインフレは、最賃二・五以下で三・一九%、全体では二・一六%。安い品と交換、量削減、耐久消費財の買控えなどの工夫をしても、必要最低限の物が購入できないと嘆く人が増えてきている。
貧困層の減少減速とか、格差の拡大、インフレ高進への懸念の声も聞こえ始めた。