ニッケイ新聞 2008年5月15日付け
「式典には入れるの」――? 来月二十一、二十二の両日、サンパウロ市サンボードロモで挙行されるブラジル日本移民百周年式典。本番を約一カ月前に控えた現在も入場に関する情報が錯綜しており、各方面で不満の声が上がっている。旅行代理店や地方団体からは、「この時期になって決まっていないなんて…」と呆れ声も聞こえている。祭典委員会の重田エルゾ委員長は、「高齢者や来賓の出席は、皇太子殿下のご出席が予定される二十一日にしたい」としながらも「会場の席が三万しかないからしょうがない。モルンビーやパカエンブーだったら良かったんだけど…」と声を落とした。
百周年協会は、先月二十八日付けで約三十ある同協会の副理事長団体や関係機関宛てに「参加希望者予定リスト」の提出をメールで連絡。期限を今月九日に設定、「以降の申し込みは(入場の)責任を持ちません」としている。
これに対し、ブラジル日本商工会議所が各企業からの疑問を受け、「今回申し込まなければ入れないのか」と送った質問に「ケースバイケースで検討する」と木で鼻をくくったような対応。
特別枠に関しても「連邦、州、市政府と検討する」と〃コロニア不在〃といってもいい態度を取っている。
十二日の本紙取材に対し、祭典委員長の重田委員長は、「リストの提出はまだほとんどない。二十一日まで延長したい」と話す。
しかし、協会側は再度メール(十三日付け)で十六日までの期限延長を連絡、協会内の統率がまるで取れていないようだ。
旅行代理店の関係者は、「今までの周年行事ではなかった事態。日本側からも入場に関して問い合わせがあるが、答えようがない」とため息をつく。「全くどうなっているのやら。これは当日混乱するよ」
この代理店は、リストを送る予定はないという。
サンパウロの式典への参加希望者は、サンパウロ市だけのものではない。
ノロエステ連合日伯文化協会の関係者は、「太鼓や踊りのグループも大勢参加します。二世、三世の若い人から一世のお年よりまでみんな楽しみにしています」と話す。
皇太子のお姿を見たいという高齢者も多く、現在出席者の人数を確認中だという。すでに独自でバス一台を予約しているというが、「入場チケットの入手方法や会場への交通、席の配置など具体的な情報が何もないため、困っている」と漏らす。
今年に入り、徐々にブラジル政府やメディアによる盛り上がりを見せている。四月には日本側で盛大な式典が催されただけに、百周年協会の早急な対応が迫られている。