ニッケイ新聞 2008年5月17日付け
ミンキ環境相は十五日、同相のスタッフ編成一任を条件にルーラ大統領の招聘に応じた。公共工事での環境省許可は、条件を厳しくする一方、手続きを簡略化、省略しても差し支えない無駄な書類を排除する法令改正が必要だと強調した。またPAS(アマゾン再生計画)へのウンジェル長期計画相起用を変更し、ヴィアナ前知事の就任を提言した。
新環境相の就任で喜んだのは、電力業界といえそうだ。環境省の許可で頓挫していた数々の発電所建設計画は、一挙に動きそうな気配が見えてきた。業界は新環境相が、前任者のように環境イデオロギーにこだわらないと期待している。
PASは長期計画省の管轄ではなく、環境省の管理下に置くよう同相が要求した。現行の環境令はネックが多く、許可の早期発行に支障を来たしていると新環境相が滞在先のパリーで述べた。
手続きは、ポイントを検討し、現実性と具体性を明確にする。複雑な手続き制度は悪の温床になると同相はいう。ブラジルの環境基準はEU並みだが、管理は杜撰。国際的な傾向として、環境管理はこれからの経済活動の心臓になると述べた。
PASは、アマゾン開発計画。開発即伐採ではない。アマゾンは今、火遊び中だ。政府は軍隊や連警を送り込む。これはアマゾンが無秩序な無法地帯で、現実的な自然治癒力を育ててないからだと無計画性を糾弾した。
外紙は一斉に、環境相の交代を報じた。「アマゾンがブラジルの一部であることは、明白である。しかし、余りに重要すぎてブラジルに管理を任せるのは心配。アマゾンが丸坊主になるなら、人類は環境戦争に敗れたのだ」と英紙インデペンデントは報じた。
「世界はアマゾンを守るため、全員で責任を負うべきだ。マリーナ環境相の辞任は、地球の未来にビンタをはったのだ。環境相の辞任を期に、世界はアマゾン保護の拠出協定を締結する必要がある」とエコノミスト誌が呼びかけた。