ニッケイ新聞 2008年5月17日付け
政府は十五日、ブラジル経済を脅かし始めたインフレ、特に食品の高騰を抑制するための対策を立案した。十項目にわたる農業資材の減税と農業融資の増額に続き、資材の価格安定を模索している。
小麦輸入に課す海上輸送費の二五%課税を免除したように、肥料や農薬、その他の農業資材の輸入にも便宜を図る考えだとステファネス農相が述べた。
食品の高騰には、農産物の作付け時、米やフェイジョン、トウモロコシ、小麦など低所得層の生活に密接する食糧の農業融資を優先し、品薄による値上げを回避しながら需要供給の安定を図る。
また農産物価格の暴落によるしわ寄せと生産者保護も考慮する。インフレ対策は、これまで生産者の犠牲を考慮しなかった。生産者の離農による後遺症を無視した。農相に素人が就任するため農政不在が、長く続いた。
食品のインフレ回避は複雑な要因が絡み、短期間に結果が出せるものではない。先ず肥料や農薬など農業資材の高騰防止や堆肥の奨励から始めねばならない。それには、多くの産業部門による協力が必要である。
食品インフレは構造的問題で、減税で解決できる問題ではない。肥料と農薬の価格は農業の死活問題で、不安定な原油市場に左右される。そのため食品価格安定目的の食糧管理が求められるが、ブラジルでは食管政策が機能した試しがない。