ニッケイ新聞 2008年5月17日付け
県連ふるさと巡り一行がラーモス移住地の長崎平和の鐘公園を訪れた日の四日前、四月十八日、小川さんに平和の鐘を寄贈した長崎県国際親善協会長の武藤為一(たけふじ・ためいち)さんが肺炎のために長崎市内の病院で亡くなっていた。享年八十二歳だった。小川さんによれば六八年に同協会を創立し、亡くなるまでに長年会長を務め、移住者支援に尽くした人だったという。小川さんは「移民を支えてくれた方でした。本当に惜しい人を亡くしました」と語り弔文を書き送った。一行の撞いた鐘の音は、天国の武藤さんまで届いただろうか。
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コンピューターの画面では、地球の反対側にいる妻が自分の子供にファッカを突きつけて「帰ってこい」と要求している。このデカセギ夫はどんな気持ちで、その画面を見ていたことだろう。それでも「帰らない」と突っぱねたのは、夫にもそれなりの言い分があったからなのだろうか。まるで小説かノベーラの筋書きのようだが、実話だから「事実は小説より奇なり」そのもの。
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南麻州のアンドレ・プシネーリ州知事が十四日から十五日間かけてポルトガル、スペイン、日本を訪問している。日本では企業誘致活動に重きをおく。二十三日から名古屋で三日間開催される、在日ブラジル企業が集まるエキスポ・ビジネス2008の開会式で「南麻州の投資機会」をテーマに講演する。その他、同州に出身者や子孫多い沖縄などに立ち寄り、県知事を表敬する予定だという。沖縄ソバが市の無形文化財に指定されたカンポ・グランデ市の市長も二期務めた人物だけに、日本への思い入れも人一倍か。