ニッケイ新聞 2008年5月17日付け
四川省大地震の被害は広がる一方である。温首相が現地に飛んでいるが、悪天候と瓦礫の山が続き救済は難航している。胡錦濤主席も被災地に行き罹災者を救えと檄を発しているけれども、道には無数の亀裂があり、コンクリ―トの塊が飛び出し交通は遮断され地震の傷跡は大きい▼それでも、震源地のブンセン県にやっと軍隊が入り救援が始まった。今のところ死者は2万2千人、生き埋めと不明が4万人。負傷者は6万5千人に上っている。これだけ犠牲者が出たのは、家屋倒壊が多く、4階ほどの家は煉瓦で造られており、鉄筋は使われていなく揺れには弱い。生き埋めが2万6千人になっているのも、家が崩壊したからである▼76年7月の河北省で「唐山地震」がり、24万人が死亡した。この経験から耐震建築の奨励もあったが、必ずしも万全ではなかったという専門家の指摘もある。直下型地震のため被害が増大したが、四川地震の破壊力は阪神大震災の30倍の威力だそうだから―やはり大災害であり、死亡者は5万人を超えるとする声が強い▼関東大震災では、復興のために外国に資金を求めたし、罹災者を助けるために大阪毎日新聞が尽力して「ブラジル移民」を送り出したりもした。東京では家屋が燃え市民が逃げ惑い死に追いやられた。それだけ損害が酷く死者や行方不明もいっぱいだった。これを考えれば、四川の地震も決して他人事ではない。食糧の支援もだし、国際緊急救助隊第1陣の60人が青川県に到着して活動を始め、第2陣も成都市に入った。現地で苦しむ被災者たちには、今は「がんばれ」と激励したい。 (遯)