ニッケイ新聞 2008年5月21日付け
ルーラ大統領は十九日、医療予算の財源で廃止となった小切手税(CPMF)の代替税案を、議会の責任で考えるよう命じた。政府関係者は先週、CPMFを以前の〇・三八%から〇・〇八%の減税復活を提案したが、大統領が拒否した。ムッシオ憲政相は、小切手税攻防戦で敗走した昨年の轍を踏みたくないという。
CPMFの廃止によって生じた医療予算の欠落は議会の責任であり、議会が善後策を考えるよう大統領が命令した。予算不足によって生じる医療部門の混乱は政府の責任ではないし、財源捻出のために政府が奔走することもないという。
選挙の年に新税を立案しないし、医療予算のために資金調達も議会工作もしないと、ルーラ大統領はいった。CPMF復活はないと断言し、予算捻出がどのようなものか、議会も少し勉強しろと大統領がいう。
国民の医療については、議会に資金調達をさせる。医療予算目的で煙草や酒の増税はしない。酒煙草は、しばしの慰めを求める社会の弱者を苦しめるだけ。そんなことをしても二十億レアルにしかならない。医療には、焼け石の水。
医療予算は年間、四百億レアル必要である。ムッシオ憲政相が、議会への責任転嫁は恫喝ではないと説明した。財源のないところに、予算編成はできない道理を突きつけただけのこと。
マンテガ財務相は、フンド・ソベラノ(SWF=政府ファンド)の適用範囲に医療も加えることを提案するらしい。基礎収支の黒字でSWFを開設し、海外進出をしたブラジル企業へ資金援助を行うといい、税収は記録更新の連続なのに医療財源がないでは、議会が納得しないようだ。
下院は補足令二十九号を承認することで、税収から医療予算(SUS)への充当を考えているようだ。実際は財布を握る政府が、あちこちから捻り出せば医療予算位は調達できると議会は見ている。ただ医療を軽視しているのだという。