ニッケイ新聞 2008年5月21日付け
十九日付けエスタード紙に、五年後のサンパウロ市は、七~十九時の間、車の列が続いたままという気になる予想が発表された。
この予想は、ミナス州のドン・カブラウ財団が二〇〇四~〇七年のサンパウロ市内四カ所での調査をもとにまとめたもの。市内の渋滞は年毎に悪化し、朝の渋滞はどこでも二時間以上。四年間に一時間前後延びているという。
この傾向は午後も同じで、23・デ・マイオまで車で通うジウベルト氏氏によれば、「朝の渋滞は十一時ごろ一旦収まるが、三十分後から十五時ごろまでが昼の渋滞で、十七時からは午後の渋滞に突入する」という。
専門家らは、このままではサンパウロ市は停滞し始め、金持ちはヘリコプターで移動し、貧乏人は渋滞を避けて路上生活となる可能性さえあるという。
これに対し、サンパウロ市交通局の担当者はサンパウロ市の停滞化を否定。十九日付けフォーリャ・オンラインや二十日付けエスタード紙によれば、市内乗り入れ規制や環状線の完成、地下鉄の整備などの効果が現れる一方、車の増加もペースが落ちるはずだと説明している。
また、サンパウロ市訪問中のマルタ観光相は、二〇一四年のワールドカップ(W杯)までに交通網を整備する必要を説き、総額三百八十五億レアルの市街地交通整備計画を発表。十九日付けフォーリャ・オンラインによれば、国の玄関であるサンパウロ市やリオ市に各々百五十三億、五百五億レアルを投入し、地下鉄やバス専用路線延長などを実施する計画。ただ、資金のメドはついておらず、観光省予算を割いた残りは連邦、州、市政府が負担。負担率や計画実施時期などはこれから検討されるという。
全国的に交通整備への取組みは弱いブラジルだが、二十日付けフォーリャ紙では、サンパウロ市交通政策の不備を責める観光相に、カサビ市長が「労働党政権は何もしなかった」と切り返したことも報じた。
二十日付け伯字紙によれば、地下鉄四号線の工事はパウリスタ駅地点まで進んでいるが、交通渋滞からの脱出の道を明示することも市長選勝利の条件かもしれない。