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飛行機事故の誤報走る=サンパウロ市コ空港近くで店舗火災=過去の記憶がパニック招く

ニッケイ新聞 2008年5月22日付け

 二十日夕方、昨年七月に国内最大の航空機事故が起きたサンパウロ市コンゴーニャス空港にほど近い店舗で火災が発生し、飛行機墜落事故再発の報が国外にまで発信された。
 二十一日付け伯字紙が一斉に伝えたところによると、二十日十七時過ぎにマットレス(コルション)販売店で発生した火災は、TAM機の事故現場から近いこともあり、飛行機がビルに墜落したというニュースとなってテレビなどに流された。
 最初の報道は十七時十七分のグローボ・ニュース。その後相次いでバンヂ・ニュースやレコルヂ・ニュースの報。国会でのカード議会調査委員会(CPI)の審議中継を中断して流された速報に、CPIの審議そのものも中断されたという。
 その後、飛行機事故ではなく、ビルに隣接した店舗の火災であることが確認され、訂正のニュースも流されたが、最初の誤報を間に受けた国内外の報道機関は国外にまで配信。スペイン、アルゼンチン、イギリスなどでの報道記事がエスタード紙に掲載された。
 TAM機の事故現場に近い火災でなかったら、簡単には世界を巡る誤報とはならなかったのだろうが、パンタナル航空機の機長が、火災について管制塔に連絡したことがもとであるとか、パンタナル機が通った直後に黒煙が上がり始めたことで噂が広がったとか、誤報の原因もいくつか挙げられている様子。いずれにせよ、テレビやインターネットに飛行機事故との報が流れたことで、パニックも起きたという。
 火災の原因は電気系統のショート(短絡)とみられているが、火の回りが速く、店は全焼。店主夫妻が軽傷を負った以外、従業員にはけがもなかったが、被害は四十万レアルに上るという。
 現場には二十五台の消防車、九十人の消防士が駆けつけ、サントアマロ大通りを一部封鎖。別の道への誘導も行われたが、バスや帰宅途中の車の混乱は、一時間半余りかけて鎮火された後もしばらく続いた。
 幸い、パニックによる二次災害の報はないが、報道の速報性と確実性の問われる火災となった。