ニッケイ新聞 2008年5月22日付け
国民が恐れているのは、小切手税に代わる代替税の復活ではなく、財務省の悪い習慣がくりかえされることだと二十一日付けエスタード紙が警鐘を鳴らした。代替税の復活はルーラ大統領によって拒否されたが、リスクは健在である。
連邦令補足案二十九号は、上院を通過、下院で審議中だ。連邦総予算の一〇%プラス八十億レアルを、医療予算に当てるという話だ。この話は毎回、いい加減な扱いをされた。ジャテネ元保健相は一九九三年、医療部門への特別予算六十億レアルを確保するために小切手税を創らせた。
政府としては思わぬカネが転がり込み、国庫全般を潤した。政府は医療を大義名分にすれば、何でも思い通りになると知った。医療を看板に掲げた数々の不正が行われ、医療の水増し伝票が乱舞した。
小切手税財源は、政府にとって都合よい隠れ蓑である。前回の〇・三八%ではなく、〇・〇八%でよいという。〇・〇八%は、処女を口説く常套文句である。後はズルズルと嵌める。廃止された小切手税が既に辿って来た道だ。
財務省の悪い癖は、人間が石器時代から使った騙し戦術である。マンテガ財務相は、小切手税が脱税防止の有効手段だといった。それはウソだ。脱税する人間は、そんなに間抜けではない。
小切手税がなくても、記録的税収増が十分補っていることを財務相は知っている。だからSWF(フンド・ソベラノ=政府基金)の創設を提唱したのだ。SWFには、配当がある。工程毎に課税する累積税も不要のはずだ。それに代替税の復活は、欲が深すぎる。