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伯銀、N・カイシャ買収か=公銀再編で延命へ=金融危機に備える州立銀=イタウ銀、入札方式を要求

ニッケイ新聞 2008年5月24日付け

 ブラジル銀行がサンパウロ州ノッサ・カイシャ(金融公庫)の買収交渉に入ったことで、イタウ銀行のセットゥバル頭取が二十二日、金融公庫の売却は入札方式で行うべきだと異議を申し立てたと二十三日付けエスタード紙が報じた。銀行界の再編が進み、第一級とされたブラジル銀行は民間銀行に遅れをとったため、公立銀行の買収に出たと思われる。
 ブラジル銀行によるノッサ・カイシャ(NC)の買収交渉発表が行われた翌二十二日、民間第二番目のイタウ銀行は買収交渉に透明性を求めた。州銀の資産は妥当価格で評価し、NC買収に関心を持つ者が誰でも機会を与えられるべきであると抗議した。
 ジョゼ・V・リーマ州議会議長(PSDB=民主社会党)は、州議会でNCの資産譲渡が承認されて六十日後、ブラジル銀行へ発行株式の七一・二五%を譲る用意があることを明らかにした。残りの二八・七五%は、一般へ売却するらしい。
 同議長の見解では、株価を三月三十一日決算時の二倍価格に見積もり、時価五十七億レアルとしたのを州議多数が容認したようだ。それに、吸収後は従業員の権利や小口株主の立場を考慮するので、同譲渡承認の意向であると表明した。
 NCの売却は、民営化ではない。ブラジル銀行は公立銀行として、サンパウロ州内でシェアを高める必要があった。これが民間銀行への譲渡なら、州議会の承認も難航すると思われる。民間銀行では、経費節約のため、金銭感覚が厳しくなる。
 ブラジル銀行は二百年の歴史があり、ブラジルの悠久な発展とともに伸び、歴史を分かち合った銀行とされる。銀行再編で集権化が激化する一方、地方の州銀は取り残された。そんな中、ブラジル銀行は密かに地方の公銀吸収を進めた。
 これは、米金融危機を震源とする恐慌に備えた公立銀行の延命策である。サブプライム・パニックに備えた銀行の再編は世界的傾向となっている。ベアー・スタンズはモルガンに吸収され、鰯が鯨を呑み込んだ。