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ゲーム利用で脳活性化=神経細胞網再構築に寄与=マイナス部分にも注意

ニッケイ新聞 2008年5月27日付け

 二十五日付けフォーリャ紙によると、近年は老人性痴呆や記憶の低下を防ぐ、または遅らせるため、ビデオゲームやコンピューターソフトを利用する人が増えているという。
 記憶力向上やボケ防止のために開発された第三世代向けのゲームソフトに関する研究では、市販ソフトや従来型のビデオゲーム使用者には、短期記憶を中心とした記憶力向上や集中力向上がみられたという報告がある。
 ゲームソフトの利用については十分に検証し尽くされたといえない部分もあるが、加齢により減量するといわれる神経細胞や、神経細胞間をつないで情報を伝えるシナプスの機能回復や増量が見込まれるという。シナプスとシナプス小胞から放出される神経伝達物質増量は、情報吸収量増大と処理の迅速化から、記憶力向上などにつながる。ただし、ゲームなどによる情報吸収量増加と対応の迅速化は、他の状況下での情報処理の迅速化とイコールではない。
 また、ゲームには、同一刺激の繰り返しになり易いというマイナス部分もあり、刺激に慣れて、無意識的に反応しているという状況に落ちうる危険があることを知っておく必要がある。ゲーム中毒者の脳は記憶や感情、集団でのコミュニケーション、創造性、学習、感情の制御、犯罪の制御をも司る前頭前野の容量が少なく、脳の活動が弱いともいわれていることへの注意も必要。二十四日エスタード紙には、前頭前野の容量が少ない人は、社会的、精神的要因が重なると犯罪に至り易いという研究報告も掲載されている。
 写真のアナ氏の場合、脳の活性化と娯楽目的でゲームを始めたが、クロスワード・パズルなどにも興じている。その他に脳の活性化に役立つといわれているのは、読書(特に音読がよい)、簡単な計算、ドミノ、チェス、数独(すどく)、コースを変えながらの散歩など。いずれの場合も、前頭前野を働かせることが大切。また、バランスのとれた食事や運動も、痴呆を防ぐ、または遅らせる対策の一つだという。