ニッケイ新聞 2008年5月28日付け
ブラジルとパラグアイで毎年公演活動している歌手の中平マリコさんが、二十六日午前、日系福祉団体に六千ドルを寄付した。贈与式が援協事務局で開かれ、寄付を受けた「憩の園」「希望の家」「こどものその」「援協(やすらぎホーム)」の代表者らが出席した。
中平さんは過去四年間のブラジル公演で、「親を大切にし、誠実で勤勉、実直、どんな困難にも立ち向かっていくスピリット精神を学んだ。元気に歌えるのはブラジルのおかげ」とあいさつ。代表して返礼した森口イナシオ援協会長は「我々の活動に対する深い理解にとても感謝します。母親を心から大事にする中平さんの想いは我々の活動にも通じるもの」と述べ、感謝の意を示した。
寄付金は、中平さんが日本で販売した『歌に熱き心をこめて~日本版~』の売上金の一部。中には、中平さんの活動に賛同した在日日系ブラジル人が、一万円でCDを購入し、その残額をブラジルのために使ってほしいと申し出たこともあったという。また認知症の母を持つ日本人女性からも、三万円の寄付があった。
売上金の一部は、神戸の移住センター内で活動するCBK(関西ブラジル人コミュニティー・松原マリナ代表)にも寄付された。両国での寄付総額は百三十万円以上にも及ぶ。
中平さんは昨年に続いて『日本移民百周年記念アルバム・歌に――CDのパート2』を製作した。日本の童謡、叙情歌、演歌、美空ひばりなど全十六曲を収録。三千枚をブラジル側関係者に寄付し、その販売利益も各団体に寄付される。
滞在は、八月二十三日までの計百二日間。七十八歳の母親・芙早恵(ふさえ)さんも三年連続で同行している。施設の慰問やバザーなどのイベントに出演する。
中平さんは二十七日にもサンタクルス病院に千ドルを寄付した。