ニッケイ新聞 2008年5月28日付け
【リオ発=堀江剛史記者】様々な日本文化を紹介するリオデジャネイロ最大の百周年イベント「日本展・日伯融合100年」がブラジル銀行(Rua primeiro do Marco 66,Centro)で開かれている。ブラジル銀行文化センター主催。二十六日夜にあったオープニングには約五百人が訪れ、日本文化を楽しんだ。百二十万レアルの開催費は、ブラジル銀行とヴァーレ社が負担した。リオ州百周年・日伯交流年実行委員会の鹿田明義実行委員長はニッケイ新聞の取材に、「ブラジル全土である百周年関連事業のなかでも一番いいイベントでは」と胸を張り、「多くの皆さんに見てもらいたい」と笑顔で話した。七月十三日まで。入場無料。なお、このイベントはブラジリアでも八月三日から開催される。
会場は同銀行文化センターの二、三階部分で四つのカテゴリーに分かれている。
『伝統』のコーナーでは日本の歴史を紹介、着物や武具などを展示。床の間の八畳間を典型的な日本家屋として設置、約八十点の版画や浮世絵などを展示し、西洋文化への影響などにも言及している。
『道』のコーナーでは華道、茶道、書道、陶器を取り上げる。生け花は十点の作品が飾られ、リオ支部の会員らが期間中に活け替えるため、ブラジル生け花協会の田中エミリア会長は、「何度訪れても毎回違う作品が楽しめます」と話す。
茶道では約六百万円相当の茶器類を展示、和室では毎週土曜日に茶会が催される。六月に来伯する専永宗匠によるお手前は二十四日午後六時半から披露される予定。
故間部学画伯が描いたリオの風景画など、日本人・日系人芸術家の作品を紹介する『日本移民とブラジル文化』では、笠戸丸移民の乗客リストや一八九五年の日伯修好通商条約の批准書など貴重な資料も展示。
『J―POP』コーナーでは、日本の漫画やアニメを取り上げ、映像や展示でコスプレと伝統的な日本文化の関連性を探る試みも見られる。
総合コーディネーターのデニセ・マター氏は「生活と深く関わり合う〃芸術〃としての日本文化を紹介できれば」と全体のコンセプトを語った。
26日に開幕イベント
凧などで飾り付けられた一階部分で二十六日夜に行われたオープニングで、ブラジル銀行のマーケティング・コミュニケーション担当、ジュサラ・シルヴェイラ氏は、今年ブラジル銀行創立から二百年であること、日本に最初の支店が一九七二年にできたことなどにも触れ、「日本人がいかにブラジル人とこの百年間共存してきたかを知ってもらえれば」とスピーチ。
リオ州政府文化局のアドリアーナ・ラッツ氏やリオ市関係者がそれぞれあいさつ、福川正浩リオ総領事は六月二十三、二十四の両日に皇太子殿下がリオを訪れることを報告、同イベントにも立ち寄られる予定があることも話した。
鏡割りの後、島内憲大使の発声で乾杯の音頭が取られ、参加者らは展示などを楽しんでいた。
「会場が込みすぎて全然見れないよ」と笑いながら話すブルーノ・パチェッキさんは「日本食は大好物だし、仏教に興味がある」。義理の兄弟が日系人だというマリアーナ・ペレイラさんは、「日本文化全般に関心があるわ」と同イベントの開催を喜んでいた。