ニッケイ新聞 2008年5月29日付け
下院監察委員会のオリヴェイラ下議(PR=共和党)は二十七日、パウリニョ労組理事長ことパウロ・P・シウヴァ下議(PDT=民主労働党)を産業開発銀行(BNDES)融資の横領疑惑で議員権はく奪の対応是非を公式表明、執行部は満場一致で倫理委員会の審理に付したと二十八日付けエスタード紙が報じた。
下院執行部は、倫理委員会にシウヴァ下議の融資横領疑惑が政治倫理に抵触するかいなかの審理を行うよう要請した。連邦警察の告発によれば、同下議は融資横領をはたらいた犯罪組織の一員であると糾弾した。
監察委員会のオリヴェイラ下議は、調査委員会の設置を時間の無駄として退け、キナリア下院議長を中心とする執行委員会へつないだ。議員が議員室経費として受け取る一万五千レアルを犯罪組織の二人に渡していたことが、支払伝票と領収証から判明し、同下議の共犯を裏付けたようだ。
同下議の妻が主宰するNGO(非政府団体)「メウ・グリ」への百三十万レアル供与は、BNDESと文書がないことで横流しとされた。
当のシウヴァ下議は、労働運動への政治的弾圧であると訴えた。倫理委員会への召喚で、弾圧の実態を暴露するという。政治活動を禁じられる議員権はく奪を免れるために倫理委審理に先立って議員辞職することはないと弁明した。
「何もしていないのに、何故議員を辞めねばならないのか。オリヴェイラ下議の告発が理解できない」という。銀行明細や資産明細、電話明細を全て開示し、やましいことはない。名前が出たから犯罪関与は、根拠のないざん言だと糾弾した。
議員室に数々の関係者が出入りし、疑惑の人物が三十九回訪問したから犯罪計画は、論理の飛躍だと反駁。労働運動に関わると、保守派や政敵、外郭団体と敵はゴマンといるというのだ。
検察庁は、最高裁のメンデス長官から二千ページに及ぶ労組資金の流れに関する報告書を受け取った。労組と犯罪組織のつながりと同下議の関係を洗うらしい。
検察庁では、モウラ容疑者とマントヴァニ容疑者が、同下議を庇うため、連警の尋問に偽証したと見ている。労組と犯罪組織、弁護士の支払とリベート、謝礼、その他が複雑に交錯し、解明が急がれている。