ニッケイ新聞 2008年5月30日付け
総弁護庁(AGU)は二十九日、外資系企業の土地購入を規制する見解書を示し法案準備を始めたと二十九日付けフォーリャ紙が報じた。特に法令アマゾンの五五%、三百十万ヘクタールが外国人の所有となっていることで、ブラジルの耕作地に世界の争奪戦が展開していることを政府は認識した。
政府は、法令アマゾンへの国際的侵略を防御することにした。農地改革院(INCRA)は六月二日、外資の土地購入規制案を提出する。AGUは、これまで放置状態にあった耕土管理に法的措置を施す考えだ。
規制案はブラジル全土に適用されるが、特に法令アマゾンの五五%が外国人支配下にあることで危機感を覚えた。正体を明かさない地主も多数あり、実際の外国人地主数は、さらに多いものと推察される。
土地購入規制は、外国人に対する偏見ではなく国家主権の見地で必要だという。ルーラ大統領は、ブラジルを食糧とバイオ燃料の基地とする構想を描いていた。しかし、それは外国資本が一足先に手を打っている。
ブラジルに戦略拠点を置く外資系企業に政策指示をするには、法的メカニズムがない。外資系企業は購入した農地の他に莫大な面積を長期契約で借地している。 そこで収穫した農産物は、売却か在庫か、売り惜しみするか勝手である。世界で餓死者が続出しようと、ブラジルの倉庫に腐るほど貯め込もうと、政府の方針とは関係がないのだ。
INCRAは一九九八年から外国人の土地購入に目を光らせているが、不在地主は野放し。国内に居住する外国人には、土地購入の許可制を廃止した。しかし、外資が過半数を占める国内企業の土地購入まで、政府は規制ができない。
外国資本の土地購入規制に二案が、上がっている。一九七一年の外国人土地規制を復活させ、一郡の二五%以上所有を禁止する。外国人は公認登記所の土地権利書を取得し、身分を明かす。
法令五七〇九号を継続し、外国人は法人、個人ともに国内外で外国人規制の対象となる。ブラジルでの外国人投資に規制枠を設け、ブラジル人名義を標榜する外国人所有の土地を取り締まる。