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サンベルナルド百周年式典=先人の功称え、未来へ誓い=100人以上の高齢・功労者表彰

ニッケイ新聞 2008年6月3日付け

 サンベルナルド・ド・カンポ市役所主催のブラジル日本移民百周年記念式典が、五月三十一日午前九時から同市のパビリヨン・ヴェラ・クルスで開催され、約千人が訪れた。ブラジル側百周年式典の先陣を切った同市の百周年式典。当日はウィリアン・ウー連邦下議など多数の来賓が出席、会場では百人以上の高齢者・功労者が表彰を受けた。同日午後には記念展示会のイナウグラソンも行なわれ、土、日の二日間で約一万人が訪れた。
 南洋行記念式典祭典委員長はあいさつで、初期移民の当時の様子を説明、上塚周平の俳句「夕ざれば樹かげに泣いて珈琲もぎ」などを紹介しながら、出稼ぎからブラジル永住の道を歩んだ日本移民の歴史を日ポ両語で紹介。「私たちの先輩に敬意と尊敬を述べたい。これからのサンパウロ、サンベルナルドの発展に期待をしていきたい」と先人の功績を称えた。
 サンベルナルド市在住の八十五歳以上の高齢者九十二人に対し、一人一人に来賓者から表彰状が手渡された。その後、地元コーラス隊が「海を渡って百周年」、中平マリコさんによる記念ソング「歩み続けて百年」、「ふるさと」などを合唱した。
 高齢者を代表して、宮本信雄さん(96)は「本日の表彰を迎えることができたのは、サンベルナルド、ブラジルの皆様の温かい支援のおかげ」と喜びを表した。
 続いて、サンベルナルド市民章、ベネメリット市民章、エメリット市民章、ジョン・ラマーリョ章の受章者に、記念品と賞状などが贈られた。
 ジョン・ラマーリョ章を受章した荒崎章さん(85)は「百周年を記念して、日本移民の子孫として受賞できたことを誇りに思う。我々を受入れたくれたブラジル人に感謝します」と感謝の言葉を述べた。
 ウイリアン・ジブ市長は、全ての民族系コロニアにとっても日本移民百周年は意義があるとの考えをのべ、「今日という日を迎えたことをとても誇りに思っている」と強調した。
 その他、オルラミド・モランド州議、ウー連議など来賓、中原アルツール同委員会まとめ役など多くの人があいさつを行った。
 最後には来賓一同で鏡割り。南祭典委員長が乾杯の音頭をとってカクテルパーティーへ移った。
 高齢者表彰を受取った佐藤勘蔵さん(86、秋田)は「初めてこんな立派なものを貰った。額を作って飾りたい。こんな嬉しいことはない」と涙を浮かべながら話した。
 各章の受章者は次の通り(継承略)。
 【サンベルナルド市民章】藤森志津(103)、植松ジョゼ卓實(69)、松永次郎(67)、小橋孝昭(70)【ベネメリット市民章】堀田ネルソン(77)、クラリセ・タケシタ・デ・ソウザ(85)、菅信夫(80)【エメリット市民章】中野マリオ、田村幸重(93)、小山ウーゴ(39)、宮川股男(56)【ジョン・ラマーリョ章】伊藤基治(93)、中崎渡(73)、轟昇司(65)、生長の家(村上真理枝理事長)、杉野高治(71)、ブラジル創価学会、荒崎章(85)、マルイシ・オルガ(75)、ヤクルト工場、タワタ・カマト(100)。

「サンベルナルドの日本」=地元日系社会を多彩に紹介

 午後一時からは、同会場で開催される展示会「サンベルナルドの日本(Japao em Sao Bernardo)」の開会式に移り、ジブ市長、南祭典委員長らが入口に設置された鳥居の前でテープカット。

 会場内には、姉妹都市の周南市(旧・徳山市)がある山口県のブースや茶道、折り紙の講座、地元日系集団地、アルモニア学園の歴史紹介などが行われた。昔の日本紙幣、鎧兜、日本移民の写真、着物、扇子など様々な展示や、会場中央に設置された小型の大仏像などが注目を浴びていた。
 展示を見学していた伊藤広良さん(68、二世)は「この剣道の防具は懐かしい。昔、同じものを使用していたから」と懐かしそうに話した。
 同展は八日まで開催。開催期間中、舞台上では、太鼓やコーラス、傘踊り、阿波踊り、神楽、平田ジョー、マウリシオ・ミヤのコンサートなどが行われる。