ニッケイ新聞 2008年6月4日付け
岐阜県人会創立七十周年、岐阜県人移住九十五周年、日本移民百周年を記念して五月二十五日に愛知県人会で行われた記念式典で、五十年ぶりの感動の再会が実現した。しかも当人は古田肇岐阜県知事その人で、小学校五年生の時にブラジルへ移住した伊藤智恵子さん(旧姓=北、61)との再会を果たした。
式典の十日ほど前、岐阜県人会から伊藤さんに式典参加の電話があった。「その話を聞いた時にはとても緊張しました」と伊藤さんは話す。在住するミナスジェライス州イパチニンガ市から、夜行バスに乗って駆けつけた。
二人は、岐阜市菊池町の三里小学校で、四年生から五年生の約一年間、同じ小学校に通っていた。
古田知事は「当時の移住者には、学校をあげて送別会を行ったから、よくおぼえているよ」と当時を振り返る。伊藤さんの印象を尋ねると「活発な女の子で足が速かった。運動会は彼女の独壇場だったね。チエちゃん(伊藤さん)は昔と面影が変わらないよ」と懐かしそうに話した。
古田知事は、来伯前から再会を楽しみしていて、移住前の写真と、県人会から送ってもらった現在の写真を見比べていた。
一方、伊藤さんに当時の印象を聞くと、「知事は四年生の時に転校してきたから、あまり覚えていない」と正直に語った。「当時の話をされて、知事の家に遊びに行ったことを思い出しました」と照れくさそうに話す。「今回の再会は一生の思い出になった。言葉では表現できないぐらいの喜び」と表現した。
今回、知事は小学校当時のアルバム、同窓会のDVD、岐阜提灯、お菓子、柿、岐阜のパンフレットなどを自費で用意し、伊藤さんにプレゼントした。