ニッケイ新聞 2008年6月4日付け
聖郊有数の日系集団地サンベルナルド市で、先月末、市独自の百周年式典が挙行された。国内各地の式典の皮切りとなったこの日、市の顕彰を受けた人達が壇上の来賓と親しげに握手を交わす姿が印象的だった。
同市独自の記念事業は三十以上。一自治体でこれだけの企画を進めるところは少ないだろう。それは、日系人が築いてきた信頼の証でもある。
戦中は敵性国人として水源地周辺からの立ち退き令もあったという。そうした歴史も越えて迎えた百周年。その中心には二世世代の姿があった。
「サンベルナルドで生まれ、育ち、サンベルナルドを誇りに感じている」、実行委まとめ役の中原アルツールさんは式典の挨拶で、そう自身の感慨を表した。客席の前部に座った高齢者の表情とともに、その挨拶は、市の発展とともにあった同地日系社会の歩みの確かさを感じさせた。(ま)