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グアタパラ耕地がコロニアに!?=サンマルチーニョ社が譲渡申し出=コーヒー精製所、映画館を保存へ

ニッケイ新聞 2008年6月5日付け

 グアタパラ移住地から少し離れた所に位置するグアタパラ耕地。ここは、一九〇八年の第一回笠戸丸移民が配耕された六耕地のうちの一つだ。このほど、同耕地の一部を所有しているウジーナ・サンマルチーニョ社から、コーヒー精製所、映画館、小教会など重要な建物が残されている土地を日系コロニアに無償譲渡する話が持ち上がった。現在、グアタパラ農事文化体育協会では、調査費や改修工事費用の協力を呼びかけている。
 グアタパラ耕地は、一八八五年にマルチーニョ・プラード・ジュニオール氏によって創設。一九四二年にモルガンテ家に譲渡されて以降、人手に渡っていた。七五年から始まったモジアナ線撤去にともない、九五年までには大半の建物が解体されている。
 サンマルチーニョ社が無償提供を申し出ている土地は、同社が所有する同耕地の一部、約二十ヘクタール。
 提供される土地内には、コーヒー精選所、グアタパラ映画館、学校跡地、安東義良大使やベルギーの王様が植樹した邸宅跡地など、日系コロニアにとっては重要な場所が含まれている。
 〇三年に、グアタパラ農事文化体育協会からブラジル日本移民百周年記念協会に対して、協賛事業として申請し、歴史的価値のある建造物を保存しようと検討していたが、現在まで動きは無い。
 最近になって、百周年が近づいてきたために、ブラジルのメディアが同地を訪れることが多くなった。
 そんな中、取材に訪れたあるレポーターが、サンマルチーニョ社に対して「手伝いをしないのか」と質問。話を聞いた同社では、すぐに無償提供の準備をして書類を作成した。あとは書類に署名するだけになっているという。
 しかし、同文協では、専門家の調査や改修工事費用にどれぐらいの資金がかかるか分からないために、署名を保留している。
 同文協では三日、百周年協会や総領事館を訪問して協力を呼びかけたが、明確な回答は返ってきていないという。
 川上淳同文協会長は「笠戸丸移民が配耕された土地が、百周年を記念して提供されるのは大変名誉なこと。今までの苦労が報われる」と嬉しそうに語った。
 また、新田築同文協副会長は「土地を所有するのは、百周年協会でも、どこでも良いと思う。これらは日系人全員の宝だから」と強調した。
 関心がある人は同文協(電話=16・3973・0088)または百周年協会(電話=11・3209・3875)まで連絡を。