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「世界環境の日」に考える=温暖化ガス排出は世界5位=環境保護区域は拡大するも

ニッケイ新聞 2008年6月6日付け

 六月五日は世界環境の日。同日伯字紙は、ブラジル地理統計院(IBGE)発表の温暖化ガス排出量他の情報を報じた。
 地球温暖化は、世界第五位の温暖化ガス排出国であるブラジルにとっても見過ごせない問題の一つだが、発表の中で気になるのは、伐採や焼失など、自然破壊による二酸化炭素(CO2)排出量が、ブラジル全体のCO2排出量の約七五%という数字。逆を言えば、自然破壊さえなければ、ブラジルの温暖化ガス排出量は激減するということになる。
 政府としては、自然保護対策の一つとしての保護地域拡大などにも取り組んできたが、二〇〇三年に国土の六・五%だった保護地域は、二〇〇六年には八・三%に拡大。この保護地域には先住民保護区も含まれるが、先住民保護区内では、自然管理が容易で破壊も少なく、先住民人口も確実に増えているという。
 その意味でも惜しまれるのは自然破壊増加。国内の大気汚染にはこの数年変化が見られ、工業生産などに伴うCO2排出量は減少傾向。一方、車両の増加や経済活動に伴う温暖化ガス排出、ならびに、北伯、中西伯での木材や、北東伯とサンパウロ州、ミナス州でのさとうきびの燃却による温暖化ガス排出が増えている。
 車両については、四月末にサンパウロ市の登録車両数が六百万を超えた他、全国の車両販売数も増加の一途。また、経済活動に伴う温暖化ガスには、発電などのエネルギー生産に伴うものや工業生産に伴うものが含まれている。
 また、農牧業やごみ処理で発生するメタンガスや窒素酸化物も温暖化ガスの仲間。残念ながら、一九九〇年と九四年の比較では、工業生産部門でCO2が減少した以外、全部門でメタンガス、窒素酸化物も含めたガスが維持または増加という。ただ、オゾン層破壊力の強いフロンガスなどについては、一九九二年から二〇〇六年にかけ、放出量が約六分の一に減少。一九八九年発効の「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」目標値を既にクリアしたという。
 ブラジルの環境整備や保護のための経費は、GDP(国内総生産)の一%以下というが、二日にサンパウロ州内四市のごみ廃棄場が違法として閉鎖され、ゴミ回収中止など、環境問題は身近な問題でもある。下水処理などの基本的な問題も含め、環境を考える機会としたい。