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おとなの電動玩具づくり=永村さん=退職後の悠悠自適

ニッケイ新聞 2008年6月6日付け

 リサイクルでおとなの電動玩具を製作する人―永村正隆さん(73、熊本県出身、グァルリョス在住)。テレビで紹介されるなどして、そのアイデアと技が知られ、見学申し込みが絶えない。
 永村さんがつくるのは飛行機、グライダー、ヘリコプター、軌道付き電車、ビルディング、タワー(塔、イルミネーション付き)、城、観覧車、クリスマスツリー、ケーブルカー、キリスト像、折り紙の動物たち、船舶など多岐にわたる。一部、プラモデルのように半加工されたものはのぞき、多くはいわゆる手づくりだ。
 材料は、廃品の金属、木材、プラスチック、ガラス、陶器、竹、紙など。自転車の車輪、ミシンのペダルなどをみると、加工への意欲がわくという。半加工品に手を加えたもの以外は、「世界に一つしかない、私の製品」というのが自慢だ。
 永村さんの半生は、息を抜けないほど多忙だった。戦後の移民のはしりで、一九五二年、熊本工業高校電気科を卒業したあと、家族とともに渡伯、ジュート移民として北伯パリンチンスに入植、すぐに脱け、ベレンへ出て農業、六九年にサンパウロへ、フィラメンテイロとしての腕を生かし、日系の企業に就職した。八〇年代にテクニコをやめ、日系の福祉団体、旅行代理店に勤めたりした。そのあと日本就労を経験し、六十五歳で年金生活。電動玩具づくりに熱中したのは、その年からだという。
 生活に追われなくなったあと、〃身内で騒ぐ虫〃が、永村さんを製作にかりたてたもののようだ。分身のようにかわいい玩具たち。垂直の軸から横に伸ばしたバーに取り付けたりする飛行機は自宅のキンタルに、ほかは室内に陳列してある。