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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年6月6日付け

 北海道でトノサマガエルの駆除を始めるという。道内の在来二種と餌の昆虫を奪い合ったり、他種のカエルを食べたりするので、共存が難しいと判断されたのである▼北海道にはもともと生息しなかったのに、戦後食用などを目的に本州方面から持ち込まれたものらしい。野生動物の保護が専門の研究者は、在来種と水田の風景を守らなければ、と駆除の方針を決めた。今日の事態を招いたのは、人間である▼次に最近、バイオ燃料の開発が、希少な生物たちの生息地を破壊し、絶滅させかねない、という議論がある。国際的な組織「生物多様性条約の事務局」(カナダ、モントリオール)が、報告書を出し、人類に警告を発した▼トウモロコシやサトウキビなど現在のバイオ燃料原料作物の生産は、過度の畑地拡大により、生物の生息地を壊し、絶滅を加速させる危険性がある、作物を育てるために大量の水資源を必要とし、これが淡水の生物の生息状態を悪化させる、というものである▼トノサマガエルは食べるために、またバイオ燃料は石油の代替、地球温暖化をもたらすCO2削減のために、と口実がもうけられる▼人間というものは、自身の〃ありとあらゆる利〃を追求する。他を顧慮するのは、多くの場合二の次。追求していけば、究極的にほかの生きものがみな死に絶えて、そのあとに残るのは人間たち…いや、一緒に死に絶える可能性も大きい。現代、その追求の真っ只中で、大勢は「オレはその頃には生きていないから」。(神)