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議員が食べれぬ学校給食=予期せず出てきた社会格差=未来を見越した生活変化を

ニッケイ新聞 2008年6月7日付け

 六日フォーリャ紙記載の二つの記事に、社会格差は様々な形で表出するものだと思わされる。
 一つは、サンパウロ市の市議会議員による学校給食試食の話で、もう一つは、みんながエリート並みの生活をしたら、地球一つでは足りないという話。
 サンパウロ市の市議会議員五五人中六人が試食したのは、実際の市立校給食。市政の一部であり、実態を知るべき問題の一つだが、試食に満足した議員はゼロ。一口毎に顔をしかめたり、「食べたがる生徒はわずかだろう」との感想が出たり。食堂入口で帰った議員もいた。
 市の担当者らは、栄養士による献立で、材料や調理師も厳選と言うが、議員も食べない食事ではいただけない。また、ある程度の生活が保証されている人たちに、公立校に通う生徒には、学校給食が貴重な一食という生徒もいる事実を受け止めるのは困難かも知れないが、それでも食べられないと、空腹のまま帰宅する生徒もいるらしい。供給者と受け手の格差。
 一方、エリートの生活の方は、全国一四二の市で行われ、二〇〇二人が回答した調査をもとに、非政府組織ブラジルWWFが発表したもの。調査は五月で、誤差は二%。
 それによると、車が唯一の移動手段という人は全体で一三%、エリート(国民の一五%にあたるA、Bクラス)三三%。ごみの分別実行は全体二五%、エリート三八%。二十分以上シャワーを使うは全体一三%、エリート一八%など。
 WWFによれば、入浴時間を半減すれば、六〇〇万人(サンパウロ市人口の半分強)が一日に消費する水を節約できる。国連提示の一人あたり一日最低五〇リットルという水の消費基準や、アフリカの貧しい人々は汚れた水一〇リットル以下で生活していることを考えると、雲泥の差である。
 WWFは、世界中の人がブラジルエリート並みの生活をすれば地球が三つ、米国並みの生活なら五つが必要だが、ソマリアの人並みの生活なら〇・二二個で足りるという。
 BRICs諸国でも消費は拡大の一途だが、贅沢は、一度慣れると後戻りは困難。子孫のためにも未来を見据えた生活が必要なこの時期。小さな変化が今はやりの「持続可能な」生活を生む。