ニッケイ新聞 2008年6月11日付け
食糧危機が懸念される中、コモディティを生産する地方都市は食糧景気で沸いていると八日付けエスタード紙が報じた。大豆や小麦、米はこれまで、こんな高値が付いたことがなかった。
二〇〇三年から二〇〇七年を比較すると地方内陸部における農業生産者の可処分所得は、倍増した。その額は、一兆一千七百億レアルだ。
同期間にナヴィライ郡の牧畜業者の可処分所得は、一九八%増。ドウラードス郡は一三八%増。大豆生産者は、リオ・ヴェルデ郡で一八九・七%増。ソリーゾ郡で一九〇・九%増。米作者は、アグード郡で一一五・六%増。カショエイラ・ド・スル郡で七五・七%増など。
サンパウロ市から三百キロ離れたイタペーヴァ市は、かつて飢餓都市であったが、穀倉都市に生まれ変わった。同市は昨年、大豆やとうもろこし、フェイジョンを七百十万俵生産し、二億五千万レアルを受け取った。
往年の日雇い労務者は、とうもろこしを植えて初めて大金を握ったという。町へ出ると家電店へ入り、薄型テレビへ直行する。市税の滞納者も四〇%から一〇%へ減り、金回りのよさを物語っている。
商店の新規開業は、一週間皆無ということがあった。いまは毎日、大型店十社が開店。主に農機具店と自動車代理店、高級婦人服店、ホテルである。嬉しい悲鳴もある。交通渋滞と駐車場不足だ。
街角の話題も変わった。往年のテキサスのように金儲けと土地売買だけになった。生産者は農業技術の勉強に励み、年三回収穫する。世界の新技術を紹介する農産展の開催も企画している。