ニッケイ新聞 2008年6月11日付け
「ブラジルでどう受け止められるか楽しみ」――。
今月14日から一般入場できる『日本文化週間』のアニェンビー国際会議場で日本の人形作家、与勇輝(70、あたえ・ゆうき)氏が作品約50点を出品する。
与氏の人形は、古い木綿布を使って制作され、柔らかい表情とノスタルジックな雰囲気を醸し出すことで有名。
日本のみならず、パリやニューヨークで個展も行なっている。ブラジルでの作品展示は今回初めて。
国際交流基金文化センターで9日に開かれた記者会見では、作品3体を前に思いを語り、多くの来場を呼びかけた。
与氏は、一九三七年神奈川県生まれ。幼少期に戦争を体験したが、印象に残ったのは、同世代の子供たちの表情だった。
「みんな、お腹が空いても目が輝いていた」。
30年間で約5百体を作ってきたが、「一貫して強く、逞しく、したたかな子供」を作ってきたという。着物姿で子守りをする子、物憂げな表情で空を見上げる子―。今回の日本文化週間のために数体を特別に作ったことも明かす。
世代交代が進むブラジル日系社会の現状を踏まえながら、「1世が移民で来た頃の日本はこの人形のような子供がいる時代だった。日系の若い世代にも何かを感じて欲しい」 (剛)