ニッケイ新聞 2008年6月11日付け
サンパウロ市で開かれたバンデイランテス植民地出身者の集いを訪ねた。
戦中の一九四四年に入植した同地。日本人が集まる事も禁じられていたはずだが、「田舎はそうでもなかったんですよ」と出席者の一人。暗い時代を想像していた記者には、新鮮に響いた。
それでも戦後は日本の戦勝や「南洋行きの船が来る」といったニュースが回ったという。「家財を片付けてサントスへ行った人もいました」。全く平穏だった訳ではないが、青年期を過ごした地だからか、往時を語る出席者の表情は明るい。
ロンドリーナの沼田信一さんの調査によれば、日本移民が拓いた植民地は二千に上るという。
なくなったり町になったりと、現状は様々だが、今もサンパウロ市では、年間を通して各地出身者の集いが開かれている。場所は違っても、元気な再会を喜び、昔話に花を咲かせる光景は同じだ。(ま)