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高校進学は何のため?=期待と実際に大きな差=それでも評価は7・1

ニッケイ新聞 2008年6月12日付け

 高校進学率は四五%に達したブラジルだが、高校教育への期待と実際に大きなギャップがあるとの記事が八日エスタード紙に、高校教育への評価は七・一との記事が十一日フォーリャ紙に出た。
 エスタード紙記載の調査では、卒業後は就職予定の生徒は四三%で、高校の教育内容が就職現場で役立つと考えている生徒は一七%。一方、大学進学目的の生徒は二五%で、教育内容が受験準備に役立つと考えるのは二一%。卒業証書を得る、または市民としての権利や義務を知るのが目的の生徒はともに八%で、高校教育が目的達成に役立つと考える人はそれぞれ一二%、一〇%など。一方、一三%の生徒が高校教育は何の役にも立たないと考えており、中退率も増えているという。
 この実態に専門家は、生徒を動機付け、将来計画にも寄与することが出来るような教育のあり方を探る必要を認識。カリキュラムの見直しや、生徒の要求や生活に即し、魅力ある授業への取組みを模索し始めている。
 また、受験や就職戦線で私立校生徒と渡り合っていけるかと不安を感じている公立校生徒の声や、高校での勉強が何にどういう形で役立つのかがわかれば、もっと興味が持てるのにといった生徒の声もある。
 一方、フォーリャ紙の高校教育評価は、昨年の国家高等教育試験(Enem)会場で受験生向けに実施したアンケートの結果。高校教育や教師への評価は総体的に良いと出る傾向があるというが、成績の振るわなかった生徒の出す評価は高く、成績の良い生徒の評価は厳しいともいう。
 この記事では、高校教育の内容は就職現場で役立つと考える受験生が四八%。高校教育の内容は現在または将来自分が進もうとする職業と関連すると考える受験生は二七%と報告。その一方、高校は受験技術や受験に役立つ内容を教えてくれたが、文化的教養などを置き去りにしたと考え、自分の受けた高校教育は四点という学生もいた。
 七日フォーリャ紙には、一七~二四歳の大学進学率は一八・七%、その中の三%が大学院へ進学とあるが、文盲率が一〇%以上で、高校中退率も増加のブラジルの教育現場には、まだまだ改革の余地がありそうだ。